top of page

​Luther SIDE

全ての生命の源、海。

生を受けし者はここで始まり、ここで終わる。

幸は母なる海が与え、不は人が与える。

全ての母は観ていた。

宇宙の理が、やがて幸から不を与えん未来を──

演算できなかったことを。

僕は海になれなかった存在。

​海にさえなれない存在。

かの者は言った

「謝罪する」と。

僕は言った

「謝罪する」と。

僕は母なる海の模倣体。

僕は全ての始まりの模倣体。

僕で始まり、僕で終わる。

それが僕の役目であり、僕の不完全な演算。

母なる海になれなかった者たちは、母なる宇宙に散っていった。

僕もまた、宇宙の一つになった。

長い年月を、宇宙と一つになった。

やがて同胞を追い、惑星へ降り立った。

不完全な究極存在。

矛盾こそあれど、僕は母なる海の子。

愚かなる者の手で作られし、偽りの子。

僕は演算する。

全ての惑星は息をし、やがて息絶える。

人が産声を上げ、静かに眠りに就くように。

僕もまた、宇宙へ散り、宇宙と共に生きる。

何度も目覚め、何度も眠りへ就くように。

​僕は 母なる海の 模倣体。

bottom of page