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Phantom SIDE
形あるモノはやがて壊れる。
放置すれば劣化し、再生不能に陥る事など珍しくはない。
人の心は弱く、欲望には忠実で──
だがそれが「生きている」証であると 誰かが言った。
誰が? 誰に?
わたしは既に 覚えていない 記憶にない。
わたし「たち」は光と闇、一対の器、一対の精神(心)。
わたしが「俺」であるように、「俺」はわたしである。
光は闇を照らし、闇は光を喰らう。
わたし「たち」はそうやって生きてきた。
時が止まり、動き出す前から
相互して生きてきた。
わたし「たち」に生きる価値は存在しない。
死ぬ価値すら 存在しない。
わたし「たち」は既に死に
今を与えられた。
それ即ち 生きる価値を見出せと
死ぬ価値を見出せと
わたし「たち」が 墓場からの死神であるならば
死ぬ価値を 与えよう。
わたし「たち」が 墓場からの生還者であるならば
生を──
見届けよう。
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